「知らないこと」がいちばんこわいこと。

HPVセルフチェック経験者の声

さくらさん(仮名)

高度異形成/経過観察中

異形成が見つかった年齢:32歳

2020年02月の情報を元に作成
監修:自治医科大学名誉教授 鈴木光明先生

調べることで、心づもりができる。

異形成(子宮頸がんの前段階)が見つかったときの受け止め方って、病気について知っているかどうかで、まったく変わるんじゃないかと思います。私の場合は、職場に女性が多く、40代50代の先輩方に異形成の経験者が思いの外多いことを知っていました。さらに、仕事の関係で子宮頸がんについて調べたことがあったので、異形成は多くの人がなる可能性があり、でも、ほとんどの人が自然治癒するということも、知識として持っていました。

だから、自分の異形成が見つかったときは、驚くことも不安になることもなかったんです。軽度異形成の状態のときは高い確率で自然治癒するものだと知っていたし、高度異形成に進行してからでも、頸部の部分切除(円錐切除)やレーザー治療など、子宮を残せる治療が出来ることも知っていました。

知ることでもっと、言いやすく、聞きやすく。

知っているか知らないかで反応が大きく分かれるのは、治療をする本人だけでなく、周りの人も同じなのだと思います。子宮頸がんにまつわる誤解や偏見は、意外と多いんです。たとえば異形成段階の人なのに「あの人がんで子宮とったらしいよ」と、むやみに周りを怖がらせるような無責任なうわさ話を聞いたこと。異形成は多くの場合、がん化する前に対処していれば、大事には至りません。

あるいは、性交渉で感染することから、HPVに感染している=性に奔放すぎる、という偏見で見られている人がいること。ある程度の年齢なら、性交渉の経験があるのはおかしなことではないはず。本当は、性に奔放だからではなく、誰しもに関係があるのです。そんなふうに様々に、本当は違うのにと思った場面が何度もありました。

誤解されることがこわくて、自身のHPV感染をパートナーへ伝えるときは、少なからず言いづらさを経験しました。でも、手術をするかもしれないことや、あなたにも感染の可能性があるんだよってことは、伝えなきゃいけないですからね。幸い、私のパートナーの場合は、驚かれることもなく、理解してもらうことができました。「必要だったら一緒に病院に行くよ」と、サポートも。身近な人へ病気について話すことがもっと気軽にできて、聞く方も偏見なく受け止めて、支え合う空気をもっと世の中につくっていけたらと思います。

【監修医師からのコメント】
性に奔放すぎるから子宮頸がんになる、というのは偏見です。性交渉の頻度よりも、HPV16型など、特にハイリスクなタイプのHPVに感染しているかどうかが重要です。性交渉の回数が少なくても、ハイリスクなタイプのHPVに感染すると、異形成に進む可能性が高くなります。
また、HPV感染そのものは、ありふれたことです。“他の誰か(パートナー)に感染する”ことも、それほど気にする必要はありません。ひとはHPVだけでなく、様々なウイルス・細菌をパートナーと共有して生活しているものです。
最終的には、かかりつけの産婦人科医に相談して頂ければと思いますが、HPVに感染しているだけで性生活を大きく変える必要はないのでご安心ください。パートナーに伝えるか否かも、ご自身の判断で良いと思います。
個人的には、さくらさんのおっしゃるとおり、パートナーと、感染のこと・検査のことなどを話しあうのは、素晴らしいことだと思います。

治せる病気なんて、恐くない。

もしかしたら、これを読んでいる人の中には、HPV感染や異形成がわかって、不安な気持ちでいる人もいるかもしれません。でも、あなたに伝えたいのは、こわがる必要はどこにもないのだということ。だってこれは、誰にだってありうることだから。そして、子宮頸がんは、がんの前段階から早期に発見し、経過観察をすれば、がんになる前に防げるし、治せる可能性もあるのだから。全然、こわくなんてないのだと思います。

それよりも、この病気について何も知らないままであることの方を、ずっと強く恐れてください。がんは防げるのだと知らずに、進行させてしまうこと。知識のなさゆえに、偏見でひとを傷つけてしまうこと。知らないままでいることを、何よりも恐れてほしいと思います。

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