絶対、大丈夫。信じるだけで、前に進める。

絶対、大丈夫。信じるだけで、前に進める。

かおりさん(仮名)

子宮頸がん/温存治療後経過観察中

がんが見つかった年齢:37歳

2020年02月の情報を元に作成
監修:自治医科大学名誉教授 鈴木光明先生

“がんだったけど、生きてる”。

人生終わったーって、思いました。がんかもしれないと病院で聞いて、そのあとの説明はほとんど覚えていません。とにかく、人生終わっちゃったって感じでした。結婚もしたかったし、子どももほしかったのになぁって。そのあと2日間くらいは、ホントに自分の中身が全部抜け落ちちゃったみたいに何も考えられなかったんです。

最初に相談したのは、姉です。姉は乳がんを乗り越えていて、私からすると、“がんだったけど生きてる”って最初に思いついた。がんの種類は違うけど、相談してみようと思いました。姉は私の話を親身に聞いてくれたし、何もできなくなっている私の代わりに子宮頸がんについて色々調べてくれた。たくさん声をかけて、勇気づけようとしてくれました。病院でもそう。医師は何度も「こんなに病状をハッキリ伝えるのは、まだ治るからだよ」と優しく、そして手術する病院を探すときも、「自分で決めるのが大事だから、あなたも一緒に考えようね」と手をとってくれました。

がんだったけど、生きてる

自分のことは、自分にしか守れないんだ。

姉や婦人科の医師と会話をしているうちに、ひとつ気づいたことがあるんです。それは、がんや病気になったからといって、ひとりで考え込まなくていいんだということ。とにかく誰かを頼れば、気持ちの面で支えてもらうことも、具体的な次の行動を考えてもらうこともできる。人生終わらなくていいかもしれないと、ひらけたんです。

同時に、気づいたことはもうひとつありました。矛盾するように聞こえるかもしれないけれど、自分のことは自分で守らなきゃいけないんだとも、思うようになりました。周りは優しく声をかけてくれるし、サポートもしてくれる。でも、病気と闘うのだけは、私ひとりにしかできないんです。どんな治療をするか、どこの病院で手術をするか、人任せにせず自分で選択しなければならないんだと決めました。

そう考えるころには、私はもう、病気と向き合う覚悟ができていました。子宮頸がんに関する本を買って読み込んで、病院で質問して。病院でわからないことがあれば、また調べる。これまで知らなかった自分の身体の中のことを、徹底的に考える時間をつくるようにしました。

自分のことは、自分にしか守れないんだ。

医療の最良と、「私の最良」との折り合いをつける。

医師と相談を重ねることで、自分で選択することの重要さも感じることができました。治療というと、医師がいちばんいい方法を勧めてくれて、それに従うものだと思ってはいないでしょうか。もちろん医師はいい手段を提示してくれます。だけどそれってじつは、「自分にとっての最良」とは限らないんじゃないかと、私は思っているんです。

私の場合、がんが、子宮頸部だけにとどまっているか、その周辺まで及んでいている可能性があるか、判断が難しい状態でした。前者なら子宮を残すことができますが、後者は開腹手術となり子宮だけでなく周りのリンパなどもとってしまう手術。医師から言われたのは後者で、悪い部分を丸ごと切除してしまおうという提案でした。

命が最優先。これは当然の話です。医師の提案は、たしかにキチンとしたもの。でも、私にとっては、最良じゃなかったんです。お腹に大きな傷が残るのも嫌だったし、なにより、どうしても子どもがほしかったから、子宮がなくなってしまうのは嫌でした。周りからも「肌を見せる仕事でもないし傷が残ってもいいじゃん」「自分の命とどっちが大事なの」と言われて、たしかにそうなんです。でも、私はどうしても嫌でした。

何度も葛藤がありましたが、自分の気持ちを医師へ伝え、別の病院でも相談をさせてもらうことにしました。いわゆる「セカンドオピニオン」というものです。新しい病院では、様々な視点からの話を聞かせてもらいました。非常に判断に迷う手術であること。きちんと調べて考えたならば、想いも大事にした方がいいこと。現状提示されている以外の手術方法では、再発などのデメリットもあること。リスクやデメリットがあっても、「私にとっての最良」は決まっていました。自分の身体を、できるだけ自分のままにしたい。様々な方法を検討し、子宮を残す手術方法を選びました。

【監修医師からのコメント】
とても難しい判断で悩まれたと思います。医師は、よりリスクが少ない治療法を提案するのが通常です。ですが、「ご自身の最良」と向き合って納得できる治療法を、医師と相談の上、模索していくことが必要なときもあると思います。この症例の詳細な診断(病気のステージ、組織診断など)が不明なため、正確なコメントはできませんが、いずれにしても治療後の経過観察(定期的に病院に通うこと)を励行して下さい。

医療の最良と、「私の最良」との折り合いをつける。

治るから、大丈夫。

無事手術も終わり後遺症もなく、定期的に病院に通いながら、いまはほとんど元通りの日常に戻ることができています。これでよかったね、めでたし、というわけではなく、私はこれからも病院に定期的に通って、何かあればすぐに対応できるよう、自分の身体のことを気遣い続けたいと思っています。

これを読んでいる人で、もしも身体のことで少しでも不安があるなら。ううん。もし、全然ないと思っている人でも。すぐに検査・検診を考えてみてほしいです。もし病気が見つかっても、どんな状態でも、絶対に、絶対に、大丈夫。治るから。行動を起こしてほしいなって、私は思っています。そしてもしかしたら、身近に子宮頸がんで悩む人がいる、これを読んでいる人も。どんなことを聞いても、「大丈夫」「一緒に頑張ろう」って、伝えてあげてください。何の根拠も要りません。何度でも言ってください。大丈夫って言うだけで、前に進むことができるんだと思います。

大丈夫。治ります。大事なのは悩むことより、自分のために自分で決めて、前に進んでいくことだと思いますよ。

【監修医師からのコメント】
「治るから、大丈夫」というのは力強いメッセージですね。ここで大事なのは、「早期に発見できれば、子宮を温存したまま治療が可能」ということです。そのためには、とくに症状がなくても、定期的にがん検診に通うことが大切です。

治るから、大丈夫。
SHARE ON